カテゴリ:コラム / 投稿日付:2026/08/28 07:00

相続した不動産を、兄弟の共有名義にするご家族があります。
「話がまとまらないから、とりあえず全員の名義にしておこう」という判断です。
その場は収まります。ただ、あとで動かせなくなります。
■共有名義は、決めることを先送りにしているだけです
共有名義にすると、その不動産は共有者全員のものになります。
持分だけを見れば分けたように見えますが、建物や土地そのものは分かれていません。
そのため、誰かが単独で決められることがほとんどありません。
売却も、賃貸に出すことも、建て替えも、共有者の同意が必要です。
結局、いつか話し合わなければならないことを、先に延ばしただけになります。
■売るときに全員の同意が必要になります
共有名義の不動産を売るには、共有者全員が売却に合意し、
それぞれが書類に署名・押印する必要があります。一人でも反対すれば売れません。
反対されるとまでいかなくても、動かないことがあります。
連絡が取れない、体調がよくない、判断能力に不安がある。
そうなると手続きが止まります。
判断能力に問題がある場合は、
成年後見人を選任するところから始めることになり、数ヶ月かかります。
自分の持分だけを売ることは制度上できますが、
買い手はほとんどつきません。
買ったところで自由に使えないからです。
買い取る業者もありますが、相場よりかなり低い金額になります。
■相続が重なると人数が増えます
共有のまま置いておくと、いちばん困るのがここです。
共有者の誰かが亡くなると、その持分はその方の相続人に移ります。
兄弟3人の共有だったものが、次の代で6人、8人になります。
さらに一代進むと、顔を合わせたことのない親戚同士が共有者になります。
私が実際に扱ったケースでは、祖父の名義のままになっていた土地で、
相続人が12人になっていました。
全員の所在を調べるだけで2ヶ月かかりました。
共有にした当時の兄弟は、こうなることを想定していなかったはずです。
■共有にする前に検討できること
一人が取得して、他の相続人に代償金を払う
誰かがその不動産を単独で相続し、他の相続人にはその分に見合う現金を渡す方法です。
名義が一人になるので、あとの手続きが単純になります。
取得する人に現金の用意が必要になりますが、
その不動産を使い続けたい人がいる場合には現実的な選択です。
売って、現金で分ける
誰も住まない、使う予定もないという場合は、売却して代金を分けるのがいちばん揉めにくい方法です。現金なら金額が明確で、分け方で争いにくくなります。
この場合も、売却の時点では相続人全員の合意が必要です。ただ、共有名義にしてから何年か経ってから売るのに比べると、関係者が増えないうちに終えられます。
■共有のあいだも費用は毎年かかります
見落とされがちなのが、共有しているあいだの費用です。
固定資産税は毎年かかります。
誰も住んでいなくても、建物と土地を持っている限り納税義務があります。
納税通知書は代表者一人に届くので、その人が立て替えて、
あとから他の共有者に請求する形になることが多いです。
この立て替えが、時間が経つほど揉める原因になります。
1年目は全員が払います。
3年目になると「使っていないのに払うのはおかしい」と言い出す人が出てきます。
5年経つと連絡も取りづらくなり、代表者が払い続けることになります。
金額そのものより、負担が偏っていることが不満につながります。
草刈りや修繕の費用も同じです。
誰が手配して、誰が払うのか。
共有にするときは、ここまで決めておかないと必ず後で問題になります
■判断は早いほうが選択肢が多い
共有名義そのものが常に間違いというわけではありません。
事情によっては、いったん共有にしておく判断もあります。
ただ、その場合は「いつまでに、どうするか」を家族で決めておいてください。
期限を決めずに共有にすると、そのまま10年、20年経ちます。
そして次の代が困ります。
じぶん不動産では、分け方の相談も含めてお受けしています。
売却するかどうかを決める前の段階、
相続人のあいだで話がまとまっていない段階でも構いません。
どういう選択肢があるかを整理するところからお手伝いします。





